近年、高血圧症や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病は、それぞれの病気が別々に進行するのではなく、おなかのまわりの内臓に脂肪が蓄積した内臓脂肪型肥満が大きくかかわるものであることがわかってきました。

内臓脂肪型肥満に加えて、高血糖、高血圧、脂質異常のうちいずれか2つ以上をあわせもった場合、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)と診断されます。

そして、肥満や糖尿病の人は歯周病になりやすく、さらに歯周病を悪化させるということが分かってきています。太って脂肪細胞が大きくなって増えると、炎症を起こさせる物質が体内に排出され、この物質が歯周病に影響を与えます。この炎症物質の中の腫瘍壊死因子(TNF-α)が骨を壊す細胞(破骨細胞)を刺激し骨を壊し、歯を支える歯槽骨の吸収を起こします。こうして歯周病が進行することとなります。

また、人間は奥歯で食べ物を噛んで食べますが、良く噛むことで脳を刺激して満腹中枢を刺激し、満腹感を得ます。なので、奥歯が虫歯でうまく噛みしめられなかったり、また、虫歯や歯周病などで奥歯がなくなってしまったりすると、満腹感を得るまでに食べ過ぎてしまうことになります。そうすると、肥満に繋がり、そして歯周病を進行させるという悪循環に陥ります。

このように、メタボリックシンドロームや生活習慣病と歯や歯周病が密接に関係していることが分かってきていますので、全身の健康という観点からも口腔ケアや歯の治療はきちんとおこないましょう!

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